東大を受験しよう!と決めてはいるものの、どの科類を受験しようかまだ迷っている方も多いかもしれません。そこで今回は受験生に向けて、各科類の特徴、各科類から進学しやすい学部、科類ごとの入試採点基準の違いまで徹底解説していこうと思います。
東大は受験の際に学部を決める必要がない
東京大学は入学時に学科を決める必要がありません。代わりに文科Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ類、理科Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ類の6つの科類のなかから一つの科類を選んで受験します。
どの科類を受験しても、2年生まで所属するのは(前期)教養学部という学部です。
専門の学部・学科が正式に決定するのは大学2年生の夏ごろで、それまでの大学での成績をもとに学部を選択することができます。大学での成績が良ければそれだけ進学先の選択肢が広がります。
それぞれの科類には進学しやすい学科というのが設定されているのですが、その学部でなくても、(理論的には)文科から工学部、理科から文学部に進学する、などといったことも可能です。
この「進学選択」の制度については、以下の記事で解説しています。
では、進学したい学部は漠然とは決まっているけれど、結局どの科類を選べばよいの?どの科類が入りやすいの?どの科類がどのような雰囲気なの?という疑問を持つ受験生に向けて、各科類ごとに雰囲気や特徴を説明します。
東大の各科類の特徴
文科Ⅰ類
文系のなかでも主に法学部に進学する人が多いです。近年の法学部は人気が低いため、文科Ⅰ類に通っている人であれば、1、2年次の成績がどんなに悪くても法学部に進学することは可能でしょう。
反対に、他の科類から法学部に進学するための条件は非常に厳しいです。
年度にもよりますが、例えば文科Ⅲ類から法学部に進学するためには、大学1、2年での成績が平均して80点以上は必要であることが多いです。80点(成績評価における「優」)を取るためには、その授業の受講生のなかで上位3割に入っていなければなりません。
周りの優秀な東大生の中で、2年間全ての授業で平均して上位3割に入り続けることは受験勉強以上にハードでしょう。東大生の成績事情についての記事はこちらからどうぞ。
そのため、法学に興味を持っていたり、法学部に進学したいという方は、文科Ⅰ類を受験することをおすすめします。また、文科Ⅲ類生からの人気が高い(後期)教養学部に進学したい、という場合も、文科Ⅰ類を受験しておくのはアリだと思います。
東大のなかでも優秀な法学部を目指す学生の多い文科Ⅰ類の受験は、他の文系科類と比べても難しいと言われることもあります。
確かに、採点基準が他の科類に比べて厳しいという噂もあります。(真偽のほどは不明ですが、私の感覚からすると、この噂が本当であったとしても、採点基準が若干異なる程度だと思います。)
ただ、文科Ⅰ類よりも文科Ⅱ、Ⅲ類の方が合格最低点が高い年もありますし、ダントツで難しいという感じでは全くないと思います。
ちなみに、それでもセンター試験で失敗すると文科Ⅰ類受験を回避して文科Ⅱ、Ⅲ類の受験に切り替える人が一定数いるため、センター試験の足切り点は文系科類のなかでは一番低い傾向にあると言われます。
文科Ⅱ類
文系のなかでも経済学部に進学する人が多いです。経済学部に進学する場合も、文科Ⅲ類からだと、法学部ほどではないにしろ1、2年での成績が優秀でなければなりません。
文科Ⅱ類に入ってしまえば下から3割くらいの成績でも経済学部に進学できます。
文科Ⅱ類からは経済学部進学者が多いため、受験においては数学の採点基準が厳しいという噂もあります。反対に国語の採点基準は緩いとか…。
ちなみに入学後の女子比率は文科系では一番低いです。
文科Ⅲ類
文系のなかでも文学部、教育学部、(後期)教養学部に進学する人が多いです。
と、言われていますが、実際は(後期)教養学部に進学するためには1、2年での成績が優秀である必要があります(学科にもよりますが)。文科Ⅰ類、Ⅱ類に入学していればもっと低い成績でも(後期)教養学部に進学できたのに…と言う人もいます。
文学部・教育学部は文科Ⅲ類でそこそこの成績を修めていれば進学できるという学科がほとんどです。
女子の比率は大学内で一番高く、3割くらいです。
文科Ⅲ類から法学部や経済学部に進学する人もいますが、そのような人たちは1、2年でしっかりと勉強していました。
また、そのような人たちは、法学部や経済学部に進学後は文科Ⅲ類からの進学者(知り合い)が少ない…と少し寂しくなることもあるとのことです。
受験においては、英語・国語を得意とする人が多いです。
入試が広い部屋(講堂)で実施されるため、英語のリスニングが聞き取りにくいという噂も。(私は文科Ⅲ類を受験し、入学しましたが、入試は100人弱が入る普通の教室でした。ただし、音が反響しやすい講堂で受験したという文科Ⅲ類の友人も結構いました。)
理科Ⅰ類
理系のなかでも理学部・工学部・薬学部・農学部に進学する人が多いです。
東大の1学年の入学者約3000人のうち1000人がこの理科Ⅰ類で入学します。このことが、マンガ「ドラゴン桜」で理科Ⅰ類が最も入りやすい科類とされている理由なんでしょうか。
ちなみに入試の合格最低点は理科Ⅰ、Ⅱ類でそこまで差がないことが多いです。採点基準も理科Ⅰ、Ⅱ類ではそこまで変わらない気がします。
東大理系受験生は理科の選択科目で物理・化学の二科目を選択する人の割合が非常に高いです。その中でも理科Ⅰ類は、特に物理・数学系が得意という人が多い感じがします。
進学先を選択する際も物理学・工学・数学系を選択する人が多く、これらの学部に進学したい場合は理科Ⅰ類を受験しておくと、若干進学しやすかったり、同じような関心を持つ友人を作りやすかったりします。
また、このような特徴のためか女子の比率は極端に低いです。50人のクラスで女子は1~3人ほどのことが多いです。(「クラス」が何であるのかについてはこちらの記事からどうぞ!)
理科Ⅱ類
理系の中でも農学部・薬学部・理学部・工学部・医学部に進学する人の多い科類です。化学・生物系の学部に進学したいという人が多いです。
女子の比率は理系のなかでは高めです。
理系は文系とは異なり、基本的には入学した科類によって進学先の学部への難易度が大きく異なることはありませんが、例外として、医学部医学科に進学したい場合は理科Ⅲ類の受験をおすすめします。
確かに理科Ⅱ類からも毎年医学部医学科に進学する人が数人いますが、非常に狭き門です。具体的には、1、2年次の成績で平均90点を超えている必要があります。
90点(成績評価における「優上」)をとるためにはその授業の受講生の中で上位5~10%に入っていなければなりません。(以下の記事参照。)
毎年非常に優秀な方々が理科Ⅱ類から医学部への進学を目指していますが、そのような人であっても平均して90点を超えるのは難しいようです。ですから、医学部医学科を目指して理科Ⅱ類を受験するのは得策とは言えません。
理科Ⅲ類
ほぼ全ての人が医学部医学科に進学する科類で、入試難易度は日本で最も高いです。
定員は100名ほどしかなく、合格最低点は理科Ⅰ、Ⅱ類と比べて60~70点ほど高いです。(ちなみに東大理系は数学・理科・英語の配点が各120点、国語の配点が80点です。) しかも採点基準は他の科類と比べてかなり厳しいという噂もあります。
東大生のなかでも一目置かれる存在で、特に数学・理科系の科目が非常に得意という人が多いです。しかも体力があって、大学では夜中まで勉強しながらも朝・昼は運動系のサークル・部活でも活動しているという超人もいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。まずは大学で学んでみたいことや現時点での関心を基準にして、得意科目や進学先選択に必要な点数を考慮しつつ、受験科類を決めてみてください。目標が明確になった方が勉強のモチベーションも上がるはずです!
この記事中で紹介した以外にも、入学後の学部の雰囲気や東大事情について解説している記事もありますので、そちらも読んでみてください!
東大受験生の方はこちらの記事もどうぞ!
東大志望者必見!高1、高2で取り組んでおきたい受験勉強の「基礎固め」とは
東大入試合格のためにはどの科目で何点取れればよい?-目標点を設定しよう
受験生こそタイムマネジメント術を身につけよう!効果的な勉強計画の立て方とは
東大生が教える、数学が苦手な受験生にぜひ実践してもらいたい勉強法