東大に入学すると、ほとんどの新入生は第一外国語としての英語のほかに、「第二外国語(通称「二外」)」を選択します。第二外国語には、スペイン語・フランス語・ドイツ語・中国語・イタリア語・ロシア語・韓国朝鮮語の7種類があります。
実は、この第二外国語の選択は、東大の新入生にとっては、学生生活を左右しうる選択となるのです。東大でどのクラスに所属するかは、第二外国語が大きく関わってくるからです。(クラスについては次の記事を参照ください。)
そこで本記事では、東大の第二外国語事情を解説することで、知られざる東大の学生生活の一端を紐解いてみたいと思っています。
東大での第二外国語の選択と決定
東大に入学することが決まると、入学手続きの時点で第二外国語(第一希望と第二希望)を決める必要があります。提出用紙は東大二次試験の2日目の最後に渡されるので、提出するまでにどの言語を選択するかをなんとなく決めておきたいものです。
東大新入生に向けて行われる諸手続きの日に、クラスが発表されます。このクラスというのが、第二外国語に基づいて決められることになるのです。クラスは、第二外国語など必修の授業を一緒に受けるメンバーであるからです。
7種類の中で人気な第二外国語は、スペイン語・フランス語・ドイツ語・中国語です(スペイン語・フランス語が一番人気を争っているらしい)。イタリア語・ロシア語・韓国朝鮮語は、少数派と言われています。これらの言語選択者数はそれぞれ各科類1クラスいるかいないかという感じで、他の言語選択者は3~6クラスに分かれていることが多いです。
このようなクラス分けの特性から、どの第二外国語を選択するかによって、クラスの雰囲気が異なるとも言われています。ここからは、それぞれの言語の特徴やクラスの雰囲気について解説していきます。
スペイン語
スペイン語は発音がローマ字読みに近いことから、ヨーロッパ系の言語の中でも学習しやすい言語であると言われています。教授もいわゆる「大鬼」と呼ばれるような教授はいないため、単位や好成績が比較的取りやすいとされています。(東大のスペイン語が「簡単だ」という噂があるのはゆるめの教授が多いため。)
そのようなスペイン語の選択者には、要領のよいタイプが多いです。どの科目でも、他のクラスから高クオリティーのシケプリ(試験対策プリント)をもらってきて好成績をかっさらっていくのはスペイン語選択者だとも言われています。
クラスの雰囲気としては、フランス語選択と同じぐらい女子比率が高く、上記のような性格的特性も相まってか、どちらかというと「明るい」「チャラい」(東大生にしては)と言われることが多いようです。
ドイツ語
理系っぽいというイメージもあり、理系選択者には特に人気の言語です。英語の起源になった言語であると言われます。文法自体の難易度は特別高いというわけではありませんが、授業の進度が早いです。
そのようなドイツ語の選択者には、堅実で真面目なタイプが集まっていると言われています。さらに、将来的には研究において、学んできたドイツ語を役立てたいと考える人も多いことから、第二外国語習得へのモチベーションが比較的高いと言われています。
女子比率が特に理系においては低く、理科Ⅰ類だとクラスに女子が1人いるかいないかという年もあるので、特に女子は選択する際にはそのことを念頭に置いておきましょう。
フランス語
ヨーロッパ系の言語の中では最も難しいとされています。語彙は英語と共通しているものもあるので最初は単語にはそこまで苦労しないのですが、そのぶん要求が高くなり、高難度の語彙まで暗記させられる傾向にあります。
フランス語についても、将来の研究や仕事に役立てたいという層がいるうえ、クラスとしても勉強への意識の高い人が比較的多いです。フランス語が難しいという要因も重なって、好成績を取るのは難しいとされています。(単位取得自体の難易度は他の言語と大幅には変わりません。厳しい教授もいますが…)
女子比率が最も高い言語と言われ、文科Ⅲ類だと女子比率が5割近いということもあります。ただ、おっとりしている性格の人も多く、同じような女子比率でも、スペイン語クラスより「ゆるふわ」なイメージです。
「キラキラ」「おしゃれ」なイメージの強いフランス語ですが、そのようなイメージや女子比率の高さだけを理由に選択すると、その難易度の高さに痛い目に遭いますから、選択する際は覚悟しましょう。
中国語
日本人からすると、漢字という文字自体には親しみやすさを感じるかもしれませんが、発音が世界で最も難しい言語です。中国人の話すスピードは速いため、リスニングにも苦労するでしょう。また、文法も合理的とは思えないものが多々出現するため、難しいと言えます。
将来のビジネスで中国語を生かしたい、というように実用性(「稼ぎやすさ」?)を基準にして選択した、という人も多いようです。しかし、1、2年勉強したくらいでは、ビジネスでは全く使えるようにはならないので、実用性には?が付きます。
クラスは派手すぎもせず、比較的真面目で、女子率なども含め、雰囲気としても東大全体の平均に一番近いのではないでしょうか。
イタリア語
選択者数は少ないですが、そのぶん教授が優しく(選択者が少ないので大事に扱ってくれる)、良い成績がとりやすいなどという良い面もあるようです。発音はアルファベット読みで簡単です。また、文法としてはフランス語などと似ているので少し難しいですが、似た言語の学習経験があればより理解しやすいです。
イタリア語選択者も女子は割と多く、フランス語のクラスと似たような和やかな雰囲気です。選択者が1クラスにまとまっているため、クラスがアットホームであるという特徴もあります。
ロシア語
こちらも選択者数の少ないマイナー言語です。キリル文字という、初心者にとっては取っつきにくい文字が利用されているため、文字を覚えるだけでも大変です。
ただ、そんな言語にあえて挑戦するロシア語選択者は個性派(「変わっている」人?!)がとても多いです。ロシアがめちゃくちゃ好きだという人、芸術肌の人や演劇に携わっている人、いわゆる「オタク」な人など…(笑) 個性が強すぎて、話していて楽しい人が多いです。
そのようなロシア語選択者は、自分の関心ある学問分野に熱心な人が多く、各科目でクオリティーの高いシケプリを次々と生み出しているとも噂されます。そのようなクラスの特性もあってか、ロシア語の授業では、みっちり学習するというよりも個人の自習に任せるというスタンスのことも多いようです。
韓国朝鮮語
日本人にとっては学ぶのが最も簡単な言語であると言われますが、文字がハングルという独特のものであることが、マイナー言語である一因なのかなと思います。
ただ、ハングルもいくつかのパーツと発音の対応を覚えてしまえば簡単に読むことができますし、韓国語の単語は7割が漢語由来なので、発音が韓国語読みになっているものの単語自体は日本語と同じであるというものが多いのです。しかも文法も日本語と似ているので、とにかく学習しやすいです。
韓国の文化や韓流アイドルなどに興味がある人も多いようです。そのため、女子率は比較的高いと言われています。
3か国語の習得を目指すTLPクラスもある
日本語・英語に加えて、第二外国語も自在に操れるトライリンガル(三か国語話者)を育成しようというプログラムがTLP(トライリンガル・プログラム)です。入試の英語で上位10%の高得点が必要だったり、開講されていない言語があったりもしますが、第二外国語を身に付けたいという方は、ぜひ目指してみてください!
まとめ
第二外国語の特徴とその選択者の雰囲気について解説しました。東大生の生活は謎に包まれている部分も多いので、特に受験生の方にとっては、学生生活をイメージする良いきっかけにもなったのではないでしょうか。
東大では、クラスが第二外国語に基づいて決まることになるので、成績の取りやすさも含めて、大学生活前半を決める大きな要素となります。
第二外国語に対するモチベーションは初めは高いかもしれませんが、結局、週2、3回の授業を1年受講する程度では、よほど努力しない限り、大した語学力は身に付きません。そのため、どの言語にするか迷っているという新入生は、クラスの雰囲気が自分に合っていそうかを最優先にして第二外国語を決めても良いと思います。
特に受験生の方にとっては、学生生活を具体的にイメージすることはモチベーションアップに繋がることと思います。
記事中で紹介した以外にも、以下の記事でも東大の学生生活について解説していますので、そちらもご覧ください!
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