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東大生にとって官僚(国家公務員)とはどのような職業なのか?

東大は昔から伝統的に、「官僚養成学校」としての役割を果たしてきました。とある官庁では、総合職として採用されるのはほとんど東大卒であるという話もあります。国を動かすことのできる仕事と言えるので、東大をはじめとした最難関大学の生徒には魅力的な職業と言えるかもしれません。

 

しかし近年では、東大生の就職先として、官庁は人気が落ちてきていると言われています。直近の官僚人気の直近のピークであった1996年の4万5000人と比べると、近年の志願者数は2万人程度と、半数以下にまで落ち込んでいます。

 

では、なぜ東大生は官僚を目指さなくなったのか、東大生にとって官僚とはどのような職業であるのかをこの記事にて解説していきたいと思います。

 

そもそも官僚とは何か?

 

官僚とは、国家の中央省庁で働く公務員、つまり国家公務員のことです。中央省庁とは、「内閣府」「外務省」「文部科学省」など、1府12省庁のことを指します。

 

この国家公務員になるためには、面接(官庁訪問)の前に試験を受けなければなりません。この試験の種類によって、総合職(事務系、技術系)、一般職に分かれます。東大生で官僚を志望する人は、ほとんどが最難関の総合職を志望します。

 

総合職と一般職の違いは、昇進システムです。総合職の場合はキャリア組と呼ばれ、若手の頃から責任ある様々な分野の仕事を任され、課長級のポストまでは確実に昇進することができます。課長級のポストに到達するのが40歳ごろです。そこからはポストが減っていくので、同期の間での出世競争となり、勝ち上がった人のみが生き残れるという仕組みになっています。

 

一般職の人はノンキャリアと呼ばれ、専門的な仕事に従事したり、政策を運営したりする実働隊的な仕事を任されます。昇進のスピードも遅いので、給料もそのぶん低くなります。

 

 

官僚の仕事とは?

 

国家公務員の仕事は、主に法案や予算案の作成・施行です。と言われても、漠然としていて、具体的にどのようなものなのかイメージがつかめないという人も多いと思うので、もう少しかみ砕いて説明していきたいと思います。

 

例えば、日本の学校教育は「ゆとり」すぎるという課題があって、小学校や中学校で授業のコマ数を増やすべきではないか、という議論が持ち上がったとします。しかし、現在の授業数は教育基本法で決められています。そこで、その法律を変えていこうという役割を担うのが国家公務員です。

 

法律の改正においては、国会にて国会議員による議論の末に、議決をとって承認されることが必要です。しかし上の例でいえば、議論のポイントは、どの学年で授業数を何コマ増やすのか、どの科目の授業数を増やすべきか、教員の負担が増える場合にはどのようにして補うのかなど、数えきれないほどあります。そこで国家公務員が、予めある程度議論をして、法律(改正)案というものを作り、それを国会に提出することで、国会議員の議論・議決につなげていくのです。

 

このような仕事のため、国家公務員は、すでに存在している莫大な数の法律を知っておく必要があります。また、国会における議員の答弁(野党の質問に対する答え)を準備するのも国家公務員です。国会で野党に質問されたときに、回答が「わかりません」では時間の無駄なので、予め野党からの質問を聞いて、それに対する回答を調べておくのです。

 

東大生にとって官僚とは「コスパが悪い」仕事

 

上で説明した法律案を作成する仕事においては、国家公務員は「タコ部屋」に缶詰状態になり、数カ月の間、徹夜もいとわず法律案の作成に勤しむことになります。また、国会の会期中は、上で説明したように答弁を準備しなければならず、この作業には一晩のタイムリミットしかないため、徹夜で行わなくてはなりません。

 

このような仕事の特性から、国家公務員は残業が非常に多くなります。月200時間とかも普通です。サービス残業も多くあります。

 

一方で、給料はそこまで高くはありません。

年収は1年目で手取りが400万円くらい、そこから緩やかに上昇していって10年目で600万前後、課長級のポストにつく43~45歳あたりでやっと1000万円に到達という感じです。

これだけ聞くと「充分高い!」と思われるかもしれません。実際、「官僚の給料をもっと下げろ」と言った批判をしている人も世間にはいます。

 

しかし、東大の同級生を見まわしてみると、外資系銀行や外資系コンサルに就職し、3年目で1000万円を稼いでいる人もゴロゴロいるわけです。それに比べれば給料は高くないし、残業も多い、そう考えると、東大生にとっては「コスパが悪い」と言われてしまうのも納得ですね。

 

それでも「官僚は天下りができるじゃないか!」と批判する人もいるので、これについても補足しておきます。

 

「天下り」とは、自分がいる省庁に、公務員をやめた後の再就職先を斡旋してもらうことを言い、国家公務員法でも規制されています。「天下り」は現実に行われてしまっていることではありますが、実際には、国家公務員は天下りをしたくてしているわけではないのです。

国家公務員をやめなくてはいけないのは、先ほど昇進システムの説明で述べたように、課長級より上のポストになると、ポストの数が減っていくためです。全員をポストにとどめておくと若い人が昇進できなくなるため、ポストに就くための競争に敗れた人は、どんなに国家公務員を続けたくても仕事を辞めなくてはならないのです。同期は20~30人いますが、最終的に事務次官まで登り詰めることができるのは1人しかいないからです。

 

「どんなに頑張って国のために働いていても、最終的には行きたくもない天下り先に行かなくてはならない」と考えれば、官庁に就職するのは損だと考える人がいてもおかしくありません。

 

 

官僚になるためには、試験と官庁訪問(面接)に合格する必要がある

 

国家公務員総合職として採用されるためには、試験に合格する必要があります。2018年現在、一次試験が4月末、二次試験が5月末に行われています。

 

試験の区分には、事務系(文系)では法律・経済・行政などがあり、技術系(理系)では工学・数学などがあります。東大生にもなると独学でも合格できるという人もいますが、法学部・経済学部以外の人だと、公務員予備校に1年以上通って法律や経済を学ぶという人もいます。

官庁訪問(面接)での評価には試験の席次(合格者内での順位)も関わってくるので、上位官庁を目指す人の多くも公務員予備校に通って対策します。

 

2万人ほど志望して、二次試験に合格するのは1800~1900人ほどですから、試験だけでも倍率は12~13倍ということができます。さらにここから「官庁訪問」という面接試験が7月に行われ、この官庁訪問を通過できるのが、二次試験合格者のうちのたったの3割程度です。

 

 

知られざる官庁訪問のプロセスを公開!

 

官庁訪問では3つの省庁の面接を受けることができ、第1クール、第2クールなどと予定が決められています。第1クール(一次面接)は3日間あり、1日目には第一志望、2日目には第二志望、3日目には第三志望の省庁に訪問する、という形になっています。

 

例えば第一クール1日目に面接を受けるためには、朝イチでその官庁を訪問します。同じように訪問した人が120人ほど一部屋に集められ、呼び出されたらそれぞれ面接に向かうことになります。この面接を3~5回ほど繰り返したら、外は夜になっていて、部屋に120人ほどいた志望者は70人ほどまで減っています(途中で帰されると不合格)。最後(夜11時ごろ)まで残り、第二クール(二次面接)の予約をもらえれば、この省庁の第一クールは合格です。

 

同じことを第二志望、第三志望の省庁でも繰り返します。ここまでの3日間は、間に休みもないため、精神的にも体力的にもきついです。そして、最後まで勝ち残って予約をもらえた省庁のみ、第二クールに訪問できます。

 

第二クールも第一クールと同じようにして、その日訪問した50~70人ほどが一部屋に集められます。この日も1日で3~5回ほど面接があり、夜の段階では、部屋に残っている志望者は10~30人ほどになっています。第三クール(三次面接)の予約をもらえれば、第二クールも合格です。

 

第三クールの予約を複数もらえた優秀な人の場合、ここで訪問官庁を一つに絞ります。第三クール以降は実質的に1日しかないからです。

このようにして、第五クールまで選考を続けて残る(合格する)と、最終的に内々定をもらえることになります。

 

(実は官庁訪問の失敗談、下の記事で書いてます。) 

 

www.asuka-ukaru.com

 

国家公務員の専攻プロセスは以上のようになっているのですが、とにかくハードです。国家公務員を第一志望にして大学入学直後から公務員予備校に通っても、官僚になれるわけではないのです。

 

しかも、民間企業と併願しようとすると、ちょうど就活が忙しくなる4月5月に試験勉強と並行する必要がでてきます。これでは国家公務員試験を「お試し受験」するという人も少ないです。

さらに、7月の時点で民間企業の内定をすでに持っていれば、国家公務員の志望度が高くないにも関わらず官庁訪問を受験するというケースは稀になります。

 

では、どんな人が官僚になるのか?

 

国家公務員を目指す東大生が減っていると言えども、志望する人は多いです。では、どのような人が官僚を目指すのでしょうか。

 

答えは、「現代の社会に問題意識を持っており、自分の給料にはあまり関心がない代わりに、社会貢献への意識が強く、国家公務員の仕事の創造性に面白さを見出している人」です。とにかく社会を良くしていきたい、豊かな社会をつくっていきたいという思いが前面に出ている人が多い印象です。

 

社会貢献という観点でいえば、民間企業に勤めていても可能ですし、NPOなどを自分で立ち上げて活動していくことを選択する人もいます。実際にそのようなことを見越して民間企業に就職する人も多いです。しかし、やはり社会への影響力の強さという面でいえば、官僚が一番ということができるのではないでしょうか。

 

まとめ

 

官僚という仕事の内容について、そしてその選考と仕事のハードさについて、わかっていただけたのではないでしょうか。東大生のなかでは、「将来安泰だから」「給料が高いから」といった理由で官僚を目指す人はほとんどいません。むしろ「割に合わない仕事」と考える人も多いのです。

 

そのような東大卒官僚の実態を知っているからこそ、官僚の仕事をよく知らずに「怠けている」「待遇が良すぎ」などと叩いている人がいるのを見ると悲しい気持ちにもなります。ただ実際には、優秀で、もっと多くのお金を稼げるポテンシャルがある人が、「社会に貢献したい」という思いの強さによってハードワークをこなしていることを、知っていただければと思います。

 

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