天下の東大生であれば英語なんてペラペラに違いない!と思われる方もいるかもしれませんが、実際の東大生は、英語の読み書きが他の人よりちょっと得意なだけ(入試に英会話の試験はないわけですから)。英語で行われる授業を、時には四苦八苦しながら耐え忍んでいる人も多いわけです。
東大といえど、国内の大学。ほぼ全ての授業が日本語で行われますが、英語の授業についていえば、英語オンリーで行われるものもあります。(まあ、各大学が国際人材の育成に力を入れている昨今の流れに乗じて、東大でも遅ればせながら英語の授業を改革している、というのが実情ですが。)
今回は、そんな東大で必修科目として行われている英語の授業について、わかりやすく説明していきます。
(東大の第二外国語事情についての記事もこちらからどうぞ!)
東大1、2年生が履修する英語の授業は4種類ある
東大では、前期教養学部に所属する1、2年の間に英語の授業を履修します。3年以降になると専門課程に進学してしまい、ほとんどの学部では英語を学ぶ余裕はないからです(もちろん、英語力の向上に力を入れている学部、英語の授業が開講されている学部もあります)。
今回説明するのは、この1、2年の間に必修科目として履修する英語の授業で、4種類あります。英語一列、ALESSまたはALESA、FLOW、英語中級です。
英語一列
英語一列の授業は、いわゆる「読解」の授業です。英文が書かれている教科書を用いて、高校までの授業と同じように、教室の前方にいる教授が黒板に文法事項をメモしながら精読(日本語訳)をしていく、といういわゆる「英文読解」の授業。
東大の英語のカリキュラムは数年ごとに改善されているのですが、この英語一列の授業だけは、なぜかずっと「昔ながら」の形態を維持しています。(実はこれでも改善されているのかもしれない)
英語のレベル別にクラス分けがされていて、入試の英語の点数をもとに、上位10%(入試英語90点以上)がG1、上位10~40%(入試80~90点くらい)がG2、それ以下がG3となっています。(受験生向けに解説した入試英語の戦略については下の記事からどうぞ!)
ただ、クラス分けされてはいるものの、特にG2やG3では1人の講師につき40~60人の生徒が授業を受け、少人数制からはほど遠いのが現状です。
ちなみに私の周りの印象としては、G1の学生は7割くらいは海外居住経験ありでした。文科Ⅲ類でもG1の学生はクラスに4~5人しかおらず、一目置かれる存在でした。
ただ、G1では授業は英語で行われていて、深い読解を行っていくとのこと。また、クラス分けは、期末試験の点数によってそのつど変わります。
ALESSまたはALESA
理系の生徒が履修するのがALESS(Active Learning of English for Students of Science)で、文系の生徒が履修するのがALESA(Active Learning of English for Students of Arts)です。
この授業は全て英語で、英語でレポートを書く方法について学びます。理系生は実験を行い、文系生は教授が指定したテーマに沿って調査を行い、それぞれレポートにまとめます。クラスは15人ほどの少人数で、レポートを書く過程で、英語でディスカッションをしたり、互いの文章に英語でアドバイスしあったりして、内容を深めていきます。
最後には、このレポートの概要(実験結果や調査結果など)についてプレゼンテーションを行い、質疑応答も行います。
授業で書き上げるレポートは概ね1500 Words程度で、それを教授の指示にそって何週間かにわたって書いていくので、そこまで大変というわけではありません。(アメリカの大学での1500 Wordsは、日本の大学で3000字のレポートを書くくらいの大変さ)
しかし、課題が多いので、計画的にこなしていかないと痛い目に遭います。(笑)
FLOW
FLOWとはFluency Oriented Workshopのことで、アカデミックな場面での英語のスピーキング力を高めるための授業です。この授業も英語ネイティブの教授によって全て英語で行われ、1クラスの生徒は15人ほどの少人数制となっています。
授業ではスピーチを行ったり、あるテーマについてのディスカッションを行ったりします。スピーキングが苦手な学生にとっては、この授業のある1セメスター(半学期)の期間がとても長く感じられるかもしれません。
こちらの授業もスピーチの準備やスピーチ動画提出など、課題が多いことで有名ですが、授業をこなしていくことでスピーキング力は間違いなく向上すると思います。
英語中級
英語中級では、どの授業を履修するかによって授業の内容が異なります(いくつか選択肢があります)。そのため、自分の興味のある講義を選んだり、逆評定(生徒による教授の評価がまとめられた雑誌)を読んで、良い成績をくれそうな教授の授業を選んだります。
人気のある授業は抽選で履修できるか否かが決定します。抽選に外れると人気のない授業を受けることになってしまうので、抽選登録における戦略も大事になってきます。(笑)
まとめ
東大に入学してから履修する英語の授業について解説してみました。問題は、私が前期教養に所属していた頃から若干カリキュラムが変わっていることなのですが…。多方面からきちんと情報収集したので、ここに記載したものが最新の情報であると考えていただいて大丈夫です。
東大の英語の授業の雰囲気について、少しはイメージしていただけたのではないでしょうか。英会話が苦手という人でも、東大という優秀な人がたくさんいる環境で授業についていくために努力すれば、英語コミュニケーション力はきっと上がることと思います。
その点において、東大で勉強することはおすすめですよ。
志望校を迷っているという受験生の皆さんも、ぜひ参考にしてみてください。
東大の授業については以下の記事も参考にしてみてください!
受験生の方は、こちらの記事もどうぞ!